「猟銃」

「猟銃」を見てきましたのでメモ。

http://www.parco-play.com/web/play/ryoju/

 

◆お話

作家が一人の猟をしている男の姿を描いた詩を投稿した。反応はなかったが、ずいぶんたってから、それは私のことのように思うという手紙が来る。
誰しも、自分も多分に漏れず人に自分のことを知ってほしいと思うものだった、自分に宛てて送られた三通の手紙を読んでほしい、という。
三通の手紙はいずれも別離の手紙だった。姪の薔子、妻のみどり、そして従姉妹の彩子。

を、特設サイト見てもらうと写真があってわかるんですが、奥にその猟をしていた男がいて、手紙文面が映し出された幕があって、一番手前の舞台に中谷美紀さんがいて三人の女の手紙を演じて読み上げるという感じの舞台でした。

お話は面白かったです、特段「そ、そうなるのか!」みたいな展開があるでもなく、ただ本人たちの諦念と熱がよく伝わってくる。

◆舞台美術など

舞台美術と照明がすんごかったです スッゲ~~~~

足首まで浸る水場→砂利→板間
あれ水場の下が砂利になっててそれを押し上げてって感じかなあ。
板間はパタパタ一枚ずつ回転して砂利を落としながら出てくる様子が見れます。

蓮?の葉っぱ?みたいな感じの水場のときの照明もキレイでしたが、砂利のときの金箔が一面に花びらみたいに落ちてるようなのも美しく、板間のときのピンスポの当て方も本当にきれいだった。
小物もいつどう「見せないように」「見せるように」置いたりのけたりしてるのか自然でアハ体験みたいだった。

◆ちょっと残念だったこと

音響は最初のナレーションどうにかなりませんかって感じ。
作家目線の「詩の朗読~詩を書いてから手紙を受け取った手紙の内容」まではナレーションなんだけど、ボワボワして何言ってんだか特に詩とか全然頭に入ってこなかった。
ひたすらべらべらべらべらべらべら喋りたくる(何せ基本的に手紙の読み上げ)舞台なので序盤聞き取りづらいと本当に入り込みづらいし、前提条件が全然入ってこないよ。
もしボワボワさせるのが演出なんだとしたら舞台に入り込むのを阻害していました、だし、はっきり聞かせる気があったんだったら音響がなってません。

 ◆すごー!!ってなったこと

で、何がすごみがあったかってロドリーグ・プロトーさんです。猟をしていた男の役の人。
フィジカルアクターだったんですね、納得。ゆっくりした動きで、それこそアハ体験みたいに、いつのまにか態勢が変わっていて、ひきつけられました。
ものすごい存在感…すごいよかった…。静寂なのに、あの豊かさ。
手前で演技をしている中谷美紀さんを食うこともなくでも確かな存在感でその場にあって支えていて見るたびハッとしました。
なんだろう、手紙を書いてるさなかに書いてる人が頭に思い浮かべている情景が、挿絵となってそこにあるよう。

 ◆雑感

中谷美紀さんの演技は三者三様になっていくさまが見ごたえありました。顔がころころとかわって印象も全然違って見えました。
身体表現がどれも大変にうつくしかったです。照明ががっちり噛み合って絵になっていた。
そこにあるべくしてある、というかのようで、ある意味アニメ見てるみたいな心地でした。
おそらく手紙を書いている女のほうが主体にあるんですけど、主体客体ごっちゃにアリスの夢か赤の王の夢かみたいな感じで、手紙を読んでいる男の脳内でそうやって女が暴れまわって(あるいは佇んで)いるようにも見えて、やっぱり凄い舞台美術と身体表現だったな…。

ただちょっと噛み過ぎ。とはいえ彼女がひたっっっすら喋り倒す舞台なので大変なこととは思いますが…。別にそこからグズグズになることもなく、持ち直したり、それが演技の一環のように拾ってくところはさすがでした。それでもやっぱりいいところで噛んじゃったなあって感じも持ってしまい。

序盤、「エッこれいつまで続くの?」って思ってしまったことも否めません。ちょっと単調に聞こえてしまった。そんなに強弱があってもおかしい手紙ではあるし、それなりの強弱はすでについていたんですが…。入り込めなかったからかなー、ただそれは序盤ボワボワして聞き取りづらいナレーションのせいも多分にありそう。
私の後ろの人は一通目からすすり泣いていらっしゃったので、単純に私の入り込む力が足りなかったのかもなあ。

二通目に読み上げられる妻からの手紙が一番、ああこの文章をこう読む(演技する)んだなーという感じではありましたが、ちょっとアバズレ感が強すぎるきらいもあり。そういうふうにしようと思ってしてるとも思いませんでしたが、なんかこう。このへんは好みもありましょうが。
他二人は「まあそうですね」っていう、しっくりくるけど、文章で読んで思った通りが目の前にある、という感じで、って原作未読が言うことじゃないんですが。なんというのか、思った通りがあるって凄いことだと思うんですけど、私はちょっと「文章で読んで味わいたいな」ってせっかくやってるのに思ってしまいました。

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