初めてのカウンターコスメのころの話
- 2018/09/09
需要? そんなもんはありません。ただの露出趣味です。
私は美女でもありませんがろくにメイクをする人間でもありません。
ベースメイク止まり。メイクアップをまずしない。
だから見てくれが向上するわけでもなく、まあ、自己満足と建前としては満たしておりますというぐあい。
でも化粧品はおもちゃみたいで見てるの楽しいし、化粧をすること自体も割と楽しんでやっているのでかなり幸せなタイプです。
さて、そんな私が初めてカウンターコスメに行ったのは新卒採用されて上京してわりとすぐのことでした。
それまで、ほぼほぼ化粧なんてしてこなかったのです。いや、前述程度のベースメイクを一応、一応していたのですが、本当にささやかな自己満足と周りの言葉についていくための私にとっては小さな背伸びをしている行為だったのです。
だから、「何かついてる……あ、ファンデよれてるんだ。してないと思ってた」と悪気なく言われたときも、「今日何かつけてる? ちょっときらきらしてる。かわいいよ」と身内に言われたときも、等しく恥ずかしくて消えてしまいたかった。私はしているんだぞと自分の気持ちを支えておいて、やってるんだとは思われたくなかった。
というわけで、こうすれば化粧したことになりますよ、という手順とお作法を知りたかった。聞ける友人は手近にいませんでした。
こいつぁカウンターコスメしかねえ。ついでにまるっと買ってこよう。間違いはないだろう。金を出して絶対買うんだから堂々としていられるはずだ。新卒はいい口実になる。しかも今ならオフィスカジュアルという名前の服を持っているから、私服ほど気後れすることもない、変な格好じゃないはずだ。いけいけハッカ!
そんな出陣でございました。
とはいえカウンターコスメは難敵でした。どうしても何か自分を恥じてしまうし、敷居も高かった。BAさんこええよう。もし万一知り合いに見られてたらどうしよう(別にどうということはない)。
ぐるぐるする私が選んだ百貨店は二子玉川の百貨店でした。
ちょっと足を伸ばさないと行けないこと、周りに大して同世代が行きたがりそうな店がなさそうなこと、空いてそうなこと、百貨店そのものがそこそこ金持ちが訪れそうで売り上げに困ってなさそうなこと(偏見というようなイメージです)、売り上げの対象の年齢層が自分より上そうなこと。似た年頃のBAさんと当たりたくなかったのでした。
空いてそうなこと、だけはちょっと思惑と外れました。いや、そのとおり空いていたのです。静かすぎてやりづらかった~~!は、はずかしい!これはむしろもう少し人がいたほうが紛れられたのでは!と選択ミスに汗を掻きつつ、もうほかのところに改めて出向くような体力はなく、えいやと声をかけました。でもかけるまでにたぶん二周ぐらいしてる。
行ったのはRMKでした。大学時代、同じゼミ生が「よかったよ~」「いいってよく名前あがるねー」って会話してるのを盗み聞いていたからです。小さなゼミでよかった。でなければ一生聞かなかったかもしれない。
BAさんは、30後半にはなってるだろうという、まさに私が欲しかったぐらいの年齢層の人でした。新卒でこれまでろくにメイクをしてこなかったから一通り見てみて欲しいこと、やり方も教えて欲しいことを伝えて、一通りやってもらいました。
凄く身の置き場がなくて、たくさん緊張していたことを覚えています。されたメイクが「いい」とか「悪い」とか、そういうのは何にもありませんでした。とりあえずこうすれば、なんか、それらしいんだろうと飲みました。がちがちしてたろう私に、それでもBAさんは私が勝手に恥じるようなタイミングを作らず、すごくなごやかに説明してくれていました。
ベースメイクだけでも違って見えました。まあこれは多少試着室で着るとよく見える効果が入っていますけど。まあまあそれでもね、おお、つるっとして見える、すごいなあ、という気持ちはなかなか高揚感ありましたよ。
そうして、どうしますか? という言葉に、ベースメイクごそっとと、そしてチークをお買い上げしたのでした。……なんかもう一つくらい買ってそうだけど忘れた。
「次いらしたときは、ほかの店舗でも、このカードを出せばお客様のご入り用のお品がどれかわかりますから、さっと買えますよ」というふうな感じに言われてお客様カードを貰った。ああ、品番判らないとか、そういうことでパニクらなくてもいいんだ。ファンデがなくなったから追加したいんですってカードを出せばそのまま買えるんだ。それならさっと立ち寄ってさっと買って帰ることもできるかもしれない。そう思うとどっと力が抜けたことを覚えています。
しかしあのとき金が足らなかったのと気持ちが追いつかないのでやめたんだけどアイシャドーすげえよかったんだよなー、三色ぐらいをがぱっとまぜてとって塗るだけでいいやつ紹介してくれてて、ほんとに銀のきらきらがきれいだった……んだけど「きらきらしている」は当時私にはまだ届かなかったんだよなー。今思えばチークよりかそれ買っとけって感じなんだけど。
これが私の初めてのカウンターコスメで、それ以降も敷居は高くて不信にうろちょろしていたけれど、気持ちがいけると思ったときにはさっとやってみてくれませんかって言える度胸がついたのでしたとさ。ちゃんちゃん。
つってまあ結局メイクアップはしないしできないんだから大して活用できてねーんだけどね。