【シノビガミ】 千夜一夜暴夜奇譚

  • 2016/06/14 11:06
  • TRPG

 友人のオリジナルシナリオのテストプレイでした。

 

リミット:2サイクル
タイプ:特殊型

タイトルの通り千夜一夜が下敷きになっていて、
暴虐の妖魔に捧げられた美しい生贄は"食べられる"前に、お互いが物語っていくことで一つの寝物語を追いかけようと持ち掛ける。
妖魔は不幸せな結末を、生贄は幸せな結末を物語にもたらそうとするが…という感じ。

メインフェイズの戦闘は全て閨合戦ルール、これに物語るための特殊ルール「シェヘラザード判定」がつけられていました。
物語の結末はシェヘラザード判定(および戦闘の戦果)で溜めた合計ポイントで結末が不幸せ/幸せどちらに傾いたか判定されるという塩梅。

 

GM:サキさん/シナリオのイメージ補助になるような画像や仕掛けが凝っていて楽しいです

PC1:柘榴(ざくろ)/黒田さん
気高いロリ妖魔。正義だと思いました。勝気といえば勝気、傲慢と言えば傲慢、でもまさにそれだけの力のある妖魔…って感じで正義。

PC2:ハルニレ・K/ハッカ
赤毛ウェーブが腰までつき、口元にほくろのあるおっとりとした私なりのザ・生贄っぽさを一応詰めたんですけど…(最終的に泣いて駄々をこねた)

 

このシェヘラザード判定が面白くて!
どうやって物語を作っていこう、とドキドキ(ワクワク)でした。
判定で補助は出るんですが、割と好き勝手に膨らまして話せるので、リレー小説というか、カードゲーム「ワンスアポンアタイム」的な面白さもあり。

それから初めての閨合戦。
この強制的にいちゃねちょする感じ、嫌いじゃないぜ……ですが、テキセじゃないとハードルたっけえなあ!っていう気持ちもあり。

あっ勝ったり負けたりして、総合的には負けたんですけども負け一辺倒ではなかったんですよ相手に【愛情】生やせたし。
「愛の気持ちさえ芽生えれば必ず私のものに/私をものにしてくれるはず」というやわらかくて甘い気持ちにまみれたハルニレは、「愛の気持ちがいくら胸に棘をさしてきても、だからこそ決して自分のものになどしないし、その気持ちを獲得しない」気高い妖魔の前にただ見逃され、命こそ得ましたが永久にその心に触れられる日はこないよう、追放されてしまったのでした…。

っていう感じで、最終的に泣いてだだをこねたうえにストーカーっぽい感じの捨て台詞を吐くはめになりました!本当に私の女子キャラ(好きな人あり)はストーカー化しやすいな!?

気高きロリが最後まで気高いまま、要らぬ感情の枝端にきずつくような、晒すべくもない醜態の端きれを晒してしまっている様子が本当に萌えでな……。

「うれしい…っ! ハルニレを愛でるためにハルニレはここによばれたのですよねっ?」
「ハルニレは何度だってあなたを殺しに会いに行けるし、勝手に物語ることだってできるんですぅ」

 

--以下、物語られたおはなし(言葉尻を整形しています)

昔々。たいていの物語がそこから始まるように、このおはなしもそう始めることとしましょう。
あるところに(どこだっていいんです)、とても、とても美しい花のつぼみがいました。
どのくらい美しいかというと、周りの草木がつぼみのために栄養を取ってしまわないよう退いて土を明け渡したほどです。また、ほかの道理のわからぬものに邪魔されないよう、土の表面にツタを這わせて守るほどのものだったのでした。
つぼみはいつだって胸を張っていました。じぶんの美しさくらい、つぼみが知っていることはほかにないほどによくよく知っていたのです。自分がまだ咲いていないのだということも、"咲く"ということこそわかっていなかったけれど、きちんと"まだ"だと知っていました。

…美しい花。本当にそうだったのでしょうか。
草木が避けたのはみなつぼみの醜さに退いていたのにすぎません……美しいという口先がどれほどつぼみに伝わる形で行われたでしょう。
咲かせたくない花。増やしたくない花。なぜ地面はツタで覆われなければならなかったのでしょう。種をはじくためだとしたら……。
貴方様ならば、醜い醜いつぼみを咲かせたいと願うでしょうか。

あるとき、醜い蕾は妖精たち……この世のものではない、けれどあの世のものでもない、曖昧で人の目に触れては生きていけないものたちから祝福を受けました。それはその蕾がとっても醜いから。
その祝福とは、根ざした大地を離れ、自由に動く権利……醜い蕾のまま、どこへなりと行けばいいと妖精たちは笑いました。自由という祝福、それが蕾にとって幸いかどうかは分かりません……けれど、褪せた花弁を隠し追われるように芽吹いた大地を離れることとなりました。

あろうことか、花のつぼみの身体に、ひどい変化が現れます。彼女はもはや植物とは言え ない身体となってしまったのです。
あったはずの根は二本を残してみな千切れ、代わりに二本だけは随分太くなっていました。
あんなにぴんと伸びていたはずの葉っぱもしおしおと垂れさがり、つぼみがえいと思わなければ持ちあがり続けることさえありませんでした……
つぼみの美しさ如何どころか、もはや自分が何であるのかさえ、つぼみには見失ってしまわれたように思いました。

……妖精たちの祝福を受け、慣れ親しんだ大地を離れた蕾は、やがてどこかも分からぬ場所へたどり着く……。自分だけが異質な、異常な世界。荒野と呼べるその場所へ来て、蕾は突然、ばったりと倒れてしまいました。風が吹いても、雨が降っても、目覚めない眠りについていたのです。
最初から無理な話だったのです。足を得ても言葉を得ても水を得ることがなければ蕾は倒れて……たとえ水があっても倒れる運命にありました。お話はそうやって出来ています。
それと言うのも、蕾は慣れた大地を離れたその瞬間に命の残りがあとどれほどか分かっていました。それでも、追い立てられて祝福された土地から出ていったのです。……眠るために。

花は、咲かない。
蕾は、蕾のまま、……お話は続かない、おしまい。

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