劇団冷凍うさぎ 「ペチカとエトランジェ」
劇団冷凍うさぎさんの「ペチカとエトランジェ」を見てきました。
http://reitou-usagi.tumblr.com/009
以下覚書。
◆照明・舞台美術
がとっても良かった。
前回同じ場所で見た「どろどろどるーんぷらすてぃっく」が見る席を選ぶ舞台だったと思ったけど、こちらはもっと大きなところでぽつんと箱庭みたいに繰り出される世界を見たかったように思う舞台だったなぁ。一番後ろで見たら良かったかもしれない。
あ、あと前回座った時に、ここのパイプ椅子は水平でなく膝のほうがナナメ下を向いてってるんだな~座っててしんどいな~っていうのがあって、今回とっても身構えてたんですが、めちゃくちゃふわふわの座り心地良いクッションが敷かれてたので大変快適でした。これ、劇団さんが用意してたのかな。有り難かった。
◆演出
暗転ナシ。私はかなり自然に受け取れました。
幾重にもシーンが一つにごちゃっとぶちまけられることが多々ありましたが、「この場所に・このキャラクタが・こうして配置されると」ああ、あの場所のシーンなんだな、というのがしっかり伝わってきて、おおーってなるというぐあい。
あと全員の立ち位置が全てのシーンにおいて凄い絵になるというか、しっかりしていて、本当これちょっと遠くから眺めたかったなぁ…。
◆内容
退屈せずに最後まで見たのに、心に残るものは何一つなかった。
ど、どういうことなんだ…。退屈はひとっつもせずに最後まで見たんだよ…本当に…。
話としては「で、だから?」が強い。
役割と個は相互に作用する。役割があるから帰属できるし、どれほどそれに準じ(演じ)たとしても個が死んで横たわるわけでもないはず。
ただ相互に作用する、役割は役割なりのふるまいを個に要求してくる。私たちは役割を選べない、あるいは選べなかったと思いながらただ日常を(やり)過ごしたりもする。そのうち、何に準じたかったかが靄になっていって、帰る場所が分からなくなって、「好きにしたい」ぐらいのはずの願望がねじれたりもする。
というようなことがあるな~ぐらいにぼんやりとは思いましたが、イマイチ心に残るシーンもなかったです。
◆雑感
ガスマスクたちが出てくるシーンの多さが結構鬱陶しかったな~という印象。そのおかげで暗転ナシが実現できてる…のかもしれないけど、挟みまくるわりに別にシーン的に何かが積み重なってるようにも思えなかった。ひたすら「意味ありげ」なだけになってしまっている感じ。最初と最後で十分では?
せめて半ばに出てくる場合は全て少女(口元だけ覆うタイプのガスマスクの子)だけで良いのでは。
じいさんが舞台の幕開け幕引きどちらも飾ってますがこれも特にお話上としては余韻を持ちませんでした。
後の演出家さんによる解説で「少女が想像した、というようにしたかった」というようなことを聞きましたが、であれば少女で終わらせるぐらいでも良かったように思う。
記者の人の家庭設定はなんかイマイチピンとこないというか、特に電話の「あなた…」というくだりが、なんだかそれ必要だったのかな…というか。
いや、あれによって余計に「途切れてしまった」感を記者は抱いたのかもしれないけど、なんだか凄くないがしろにしているようにしか見えなかったのは残念だった。
そのわりに最後までコートを着ているし。寒い地方の話とはいえ、「妻からもらったもの」(おそらくは彼の帰りたい「温かい故郷」の象徴)を脱がないまま、物語終盤の行動まで行っちゃうのはなんだかフーン…?って感じでした。しがらみは増えるものですが。
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暖炉と異邦人。
「さむい」と言った女に気が付いたら面倒を見られていた記者は、けど彼女の家を訪ね(られ)ませんでした。
「さむい」と言うことのなかった姦しいトリオは二人寄り添いながら「さむい」とこぼしました。
「さむい」と言わない女の家は今はない実家の中にあるようでした。
「さむい」と思う暇もない少年は嘘じゃないはずの持病の母の存在がそらぞらしくなっていく。
エトセトラ、エトセトラ、酒場はいつも盛りです。今日も宴があるものだから。
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つらつらと私の思い出したイメージなどを列挙します。
余談がたくさん。
/童謡ペチカ
"雪の降る日は、楽しいペチカ"、"ペチカ燃えろよ、だれだか来ます"。
「にほんごであそぼ」内でやってた「ペチカ」の映像が凄い好きで。ミニチュアハウスの、あたたかな室内の様子と、それを取り巻く雪の積もった寒い景色をぐるりとカメラが舐めていくようなやつです。
すごいあたたかな風景であると同時にものすごく寂しいような、映像の中に人物は映りません。その中にはどうしても入れないような、でも入ってることもあってそういう日や時間を私は知っているなあと思わせられるというか、まあちょっと移入しすぎなんですが…。
というイメージが私の中にあることもあり、「ペチカ」と聞いて・今回のお芝居を見ていて、やたらぐるぐるとこの歌詞が頭を回っていました。
/かのイーグルスのかの「ホテルカリフォルニア」
この歌詞もの凄く利便が良いというか、色んなことを内包してくれがちなので安易に何にでも私は頼り過ぎだな。
参考まで:MAGICTRAIN Music Blog「ホテルカリフォルニア(歌詞和訳と意味)イーグルス:Eagles – Hotel California」
/「《不思議の国のアリス》の帽子屋のお茶の会」
私の心に残る舞台の一つ。理不尽が理不尽で五里霧中で何かがつかめたと思ったら霧散する異邦人の出てくる話として思い出すものがありました。
劇団円さんのこどもステージでやられているやつが最高だったんだよなあ…。
◆役者さん・役柄
老人:最初から最後まで動きになんの違和感もなくて間をもたせていて素晴らしかったです
記者:最初の重い足取り、戸惑い、消極的な(あるいはドン引きな)姿勢、もういいや付き合ってやるという感じ、やけっぱち、いろんな表情が生き生き伝わってきて素敵だったなあ
見習い少女:咳は本当に辛そうだったなー 使者とのやりとりの間が好きでした
獣人:声を出さないうちから首輪をしているからってだけでなく立ち姿がアッこれはなんか…言葉が通じなさそうな…って雰囲気でした
助手:熱量の高さが記者と良いコントラストで、最後まであの調子で良かったな~と思います 疑うことを知らぬ馬鹿って強いなぁ わけわかんないうちに死んでてほしい
見習い少年:元気に飛び跳ねてて出てくると一気に場が華やぎました それ以上にガスマスクした状態であの細い階段を駆け下りるの凄かったちょっとハラハラした
酒場娘:かわいい(かわいい) 出てくると安心する感じの役回りで、快活さと雑さがいい感じのミックスでした
酋長:一番空虚を自覚した人でした それゆえの明朗さ、快活さが最後まで崩れることはなかったですね
夫人:最初に記者を見つけた時に、かなりの時間ただ立って眺めている(他の役者が動いている)という状態があったんですが、記者のほうを伺っているという感じがずーっとあって本当にその演技が素晴らしかったです。そのあとの掘り続ける演技も良かったんですが、何よりあの立ち姿素晴らしかった。
官史:電話のシーンでの上司がやりきれてて見てて爽快でした
保安官:ゆらゆらしているのに揺るがなく村に組み込まれた人で、酒場娘とは別の意味で出てくると安心する感じでした
棺桶屋:かわいい(かわいい) いや本当最後までかわいかったから彼女にはぬくく居て欲しかった
狩人:かわいい(かわいい) かわいいのが仕事かっていうぐらい何もかもがかわいかったです
使者:あーこいつぁ別のところの住人ですわ って感じのなんとも言えない全然違う感じ がハッキリ出てましたね ちょっと怖かったけど…話通じない感が凄くて…
町医者:自己完結型の"芝居がかった"セリフが多いのですが、芝居がかりすぎない感じで喋ってらっしゃって不思議な気持ちになりました ふっと言語形態が消えたような狂い方は(しかし彼自身の何事かを判じる正常さは持ち合わせているようで)悲しいものに映りました
前回役者さんのことまで書けなかったしと手を伸ばしてみましたがひどい長さになってしまって余談を全削りしろよ感あふれましたが見ないことにする。
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