室温

言葉を落としてください
厄のように落ち着いてしまえるはずです
水のように逃げ去ってしまえるはずです
消失という名の通りに死のまぎわも微かな温度を伝えづらくして
無音さえ不要の証となりえます
汚れない室温
ファンの回転音に耳を澄まさざるをえないような事態です
常にすべてがひっつきあっていることと何もかもが離別していること
差異を吹き消すのです
いつか道しるべになることもあるかもしれません
夢見ることはありません
差異を吹き飛ばしています
飛んでいる状態と着陸するいつかは常に並行です
いつかと必ずの来る日はどれも同じことです
衝撃などささいに達成しうるのです
形などなくても安易に達成しうるのです
胸は打ち続けられるでしょう
森を抜けることも人ごみに倒れ伏すことも湖畔に足を付けることも土に手をひたすことも屋上の手すりに身をゆだねることも眠りの果ていつだって隣にありますゆえ
舞い散り続ける滞在期間はつねに終着の合図です

 

2015/07/20 (Mon)

戻る