はりのいと

いと惜しく 空へ向けた口がポカリと浮かんでいる
嗚咽もえづきも方向冴えない東の喉仏

嘘つく間のない腑抜けたちと 雨を凍らせる算段だった
見つめられない 蜘蛛の八つの目に割かれる手と手を握り
雨垂れていれば見えたかもしれない正直者たちの欺瞞でもって
地の底にいた

迫り来る拍車の音には多くのくらっぷよあはんずであったがために
まるで喝采 あるいは展望 希望の架け橋
無類の有償好きにも受け入れやすく
そこへもそこへもたどり着けるような気分の紅葉

枯れた仏の小気味好い音を轟かせている 噛み砕く音に近く
まるでちがうというのに似ている顔ばかりする

詰まるところ、散弾は無駄に終わったのだが、針を千本垂らしていたので

朝もやにもきらめくそれは細い細い道だった
地の底からも
架け橋からも
愚鈍な正直者たちからも
ただたた飲み込むばかりである
 
 
(2011/09/12 (Mon))
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