からつぽのジャムびん

夥しい少女たちが
寝転がっている
どこをみているのか
眼球は垂れ流している
というのに この沈黙よ

愛されるだけの脳髄に満ち
足も足も置き場がない
マシュマロのように
べったりと絡みつく

かと思えば
たいらな風のような
やわらかな手が
温度もなく
ぱりぱりの皮膚をなでていく

夥しい少女たちが
天を仰いでいる
大地に
そのつめたい大地に
四肢をひたらせながら

かたちにならない
ものものだけを
全身に訴えて
沈黙のびんの
ふたをしている
 
 
(2011/05/13 (Fri))
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