夜半は躍る

夜半は躍るペチコートである
消えていく素足たちに
惜しげない肌色たちに
羞かしげもない少女らに
夜半はそっとひざまづき
やあらかく落ちてゆくのだ

そこでは
涙は固いロウのように止まり
夢は七水となってあふれている
そっと だれかがくちずさみ はじめ
はじめたら
方をよりそわせて遊ぶのだ
ほうぼうに それは
ぺったりとくつけあうこともあれば
触れたかあやういまたたきのこともある
その ほんの かすかな すこしの ちっぽけ わずかな
感触を心にゆっくりと刻み付ける

疵から流れだしたものは 少しずつ 足をひたして
そっとおのおの倒れこむと
居どころまでたゆたっていくのである
夜半はひるがえり 山あいへと浮かび流れ流れ
流れ 星
ようやっと 強引な光が注ぐのだ
 
 
(2011/02/14 (Mon))
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