マイラバー
わたしはカマリャ座だった。
隣付近にいるスピカがいつまでたっても話しかけていた。次は土星の輪っかに行くのだという。
衝突事故でどうにかなってしまわなければいいと思った。 また体がいっぱいになってしまって、質量の大きさにすべてを食べてしまう物体が生まれてしまうかもしれないからだった。
あれは、要するに過食症なのだけど。
それにしても、宇宙はもうお腹を下している。
これ以上胃に穴が開くようなことがあれば、きっと収縮していくだろう。それは、わたしは、とらわれるのだろうか。溶けるのだろうか。それとも、押しつぶされるのだろうか。
わたしは星座だった。
そも、人がいなくなればわたしは消える。
気がついたら土のしたにいたのだった。
ビッグバン。
それとほぼ同時に、わたしは生まれていたのだ。
ふしぎだった。なぜなら、いつまでたっても誰も見つけてはくれなかったからだ。
だというのに、なぜわたしは星座として生まれているんだろう。
スピカはここを出るのだという。新たな穴だったが、それは目新しいものになるはずだ。
すべては内に内へと過食症をはじめた、ひらがった穴ばかりだったからだ。突き破る、その考えは誰も持たなかった。動くのはスピカだけだった。
しかしどうして土星を知っているんだろう。
当然のように、ここにはいないものを。
ロンゴ・ロンゴの導きだったかもしれない。現実的ではない。それが可能なのだとしたら、むしろもっと気づくべきことがある。発見されていないはずなのに、つけられている名前。知らないはずのことば。もろもろ、不自然なのだ。そも。
わたしは土のしたにいる。
そも、人がいなくなればわたしは消える。
そのはずなので、ずっと待っている。
スピカは消え去った。
土ぼこのなかで、わたしは空を見上げている。
(08/11/15 (Sat))