呼吸するように

いきをするようにきっとしぬ、
それは手の染まりそうな青と同じように、
死ぬのは息をすることと同じこと。
(きみが)
手を伸ばして、懸命に伸ばして、だけど何もつかめやしない。
手が青く青く染まる、それが結果と呼べるのなら、何かがあったかもしれない。
(きみがすべてを取り壊す)
(食べる)
(なめずる)
(消える)
夕方の教室には停滞するヘリコプターの音が響いていて誰も彼もを拒絶しているのにまだきみが座っている。サンドイッチの包み紙、方眼の目のメモ用紙、それからインクのない乾いたペン先。
窓はすべてカーテンで閉まっていて、その薄い緑が清潔そうなのに窓枠は埃っぽい。きみはそこから空を見ていた。
空を描くという指は1センチも動いていないのに、うそつき、きみはいつの日かフウセンを捕まえたと言う。
それから、雲の上にのって、ブランコで一回転、地に足がつくよりはやくキスをして、ようやく降り立つ場所は未明。
「ねえサンザバラ」
呼吸するようにウソをつく、それはきみが生きているようなこと、そして、ウソをつくことは呼吸することと同じ。
「いますぐおとなになってみる?」
何かがあったかもしれない。
それでも扉は閉めたけれど。

 

(2007/08/30)

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