恋と呼ぶ
多少なりと あの 月までには
蛇がとぐろを巻いて 啼いている
鱗が剥離したら いそいそと背中に傷をつくる
空など飛べるように
あなたは先ほどまで
いろのない 境界のない せかいに立って
宣誓した
月には何もないことを知って
蛇はとぐろをまきだした
そういうことを、わたしたちは恋と呼ぶ
その蛇の鱗で
いそいそと背中を傷つける
空など、飛べるように
鮮烈にいろをもって
わたしたちは剥離して 脱皮して 分離して
鱗を拾う
そういうことを、わたしたちは
いそいそと背中に傷をつける、
月にまたたけるように
宣誓した
(2006/11/15)